「ひらけ!里親プロジェクト」の一環として現在養育里親としてご活躍されている渡辺さんにお話を伺いました。
養育里親について関心のある方はぜひ読んでみてください。
氏名:渡辺さん
家族構成:夫67歳 二人家族
里親歴:平成29年10月から(5年目)
今まで迎え入れた子どもの数:25名(レスパイト10名含む)
子どもを受け入れた期間:最短3日~最長7ヶ月(レスパイト以外)
質問1:里親になったきっかけは?
たまたま家に届いたタウン誌で「インフルエンザや感染症が多く、施設の受け入れが厳しくなる冬の間、短期の乳児のお世話をしてくださる方を募集しています」という記事を見つけたのがきっかけです。そのころは仕事を辞め、十分な時間もあったため、「ちょっとやってみたいなあ」と思い、児童相談所に連絡しました。
質問2:実際に里親をやってみていかがでしたか?
何より子どもさんと生活するのは楽しいですね。短い間ではありますが、家庭の温かさを感じてもらったり、少しはその子の人生のプラスになっているといいなと思ったり。そう考えると、ちょっとだけ人様のお役に立てているのではないかとか感じます。
質問3:迎え入れた子どもたちはどんな様子でしたか?
里親の認定を受けて3ケ月後くらいの頃、お母さんが県外にお仕事に行かれるということで、里親として初めて2歳の女の子を8日間ほどお預かりすることになったのですが、この時が一番大変でした(笑)。
お母さんとのお話もあり、児童相談所で待ち合わせをして、そこから職員さんと一緒に女の子を連れて帰ったのですが、お母さんと無理やり引き離すような状況になり、家に着いても泣きわめいてなかなか家に入ってくれないんです。「公園に行こう」と言って連れて来たので、近くの公園で少し遊んで帰ったのですが、それでも入ってくれない。もう一度、公園に行き、家の周りを散歩して戻ってもダメ。私まで泣きたくなりました(笑)。時間も夕方5時頃になり、このままというわけにはいかないと思い、靴を履かせたまま抱っこして居間に連れて行きました。テレビをつけたらちょうど「おかあさんといっしょ」をやっていて、それに興味をそそられたのか何とか泣きやんでくれたものの、オムツは替えさせてくれないし、お風呂も嫌がって…。ご飯だけはたくさん食べてくれましたが、夜もなかなか布団に入ってくれず、結局ソファで寝かせることにしました。
児童相談所の方も気にかけてくださり、何度もお電話をいただきましたが、「なんとかなります。なんとかします!」とお答えして(笑)。初日がそんな感じだったので、「この先、里親をやっていけるかしら」と不安にもなりましたが、日を追うごとに家にも慣れ、笑顔を見せてくれるようになりました。当時小学校3・4年生だった孫が、学校から帰ると遊びに来てくれたのも助かりましたね。おかげで、後半は安心して過ごしていたようです。
質問4:里親をしていて周囲の反応は?
よくお会いする近所のおじさんには「お孫さんかな?その割には毎回違う子だね」と言われるので事情を説明したり、兄弟や主人の親戚のおばあさんには会うことも多いので話をしたりしますが、その度に「人の役に立つことをしているなんて凄いな」と言われます。それほど凄いことをしているわけでもないのですが…(笑)。なかには「身近な知り合いにも里親をしている人がいる」という人もいらっしゃいますね。
質問5:里親制度を知らない人へメッセージをお願いします。
最近は、虐待や育児放棄というニュースを取り上げるテレビや新聞も多く、里親制度のことを見聞きする人も増えているのではないでしょうか。その中から、少しでもそういった境遇のお子さんに手を差し伸べてあげられる方が増えるといいなと思っています。慣れないうちはお互いに緊張して、心を通わせるのが大変かもしれませんが、慣れてくれば子どもさんも慕ってくれるし、甘えてくれ、時にはわがままを言ったりもします。それだけ心を開いてくれたのだと思うとうれしくなりますね。何より小さな子どもたちにほんの少し居場所を作ってあげられると思うと自分も幸せな気持ちになれます。心の余裕とお時間のある方は、ぜひ里親さんになっていただけたらと思います。
(以上「ひらけ!里親プロジェクト」https://hirake-satooya.com/より引用」)