地域に根ざす家庭でこどもが育まれ、その子らしく育つ。
そんな日常を、さまざまな事情により奪われているこどもたちが、
今の日本には約45,000人、そして大分県には約450人います。
私たちNPO法人chieds(チーズ)は、そのこどもたちが「家庭」を通して地域で大切に育まれる機会を増やすため、深い愛情と正しい理解をもって育ててくださる「養育里親」を増やす活動に取り組んでいます。
大分県には、さまざまな理由から自分が生まれた家庭で暮らすことのできないこどもたち(0歳~18歳未満)がおよそ450名います。こうしたこどもたちは乳児院や児童養護施設、養育里親家庭などで暮らしています。このように社会が公的責任を負い、こどもたちに最善の利益を目標に彼らを養育することを「社会的養護」と言います。養育里親はこのようなこどもが家庭生活の中で適切な養育と愛情を受けながら育つことを目的とした制度です。保護者がこどもを引き取れるようになるまで、またはこどもが自立するまで等、一定期間養育します。期間は数週間から数年、十数年とこどもの状況に応じて異なります。
養育里親になるということは、過去を共有していないこどもをご自身の家庭に迎え入れ、そのこどもが成長する日々を共に経験できるとても意義深いことです。同時に、こどもを受け入れることで、毎日の生活に変化も生まれます。食事のメニューや時間の使い方、休日の過ごし方が変わるだけでなく、これまで関わることのなかった関係機関や里親仲間と積極的につながりをつくるなど、人間関係にも変化が生まれます。そのような変化、特にこどもの成長という大切な変化を、児童相談所を中心とした関係機関と共に積み重ねてくださる養育里親を、大分県は必要としています。
欠格事由:禁錮以上の刑を受けた者、児童虐待行った者など
最終的には「こどもを安定して養育することができる環境か」ということを県の児童福祉審議会で総合的に判断することになります。
~大分県HP「里親募集チラシ 」より抜粋~
日々の養育は養育里親が担いますが、里親養育はチームで行うものです。こどもの最も近くにいる養育里親がこどもに対する理解・こどものニーズ理解を深められるように、そして支援がそのこどもに切れ目なく届くように、児童相談所、乳児院や児童養護施設の里親支援の専門相談員が、里親家庭をみんなでサポートします。
たとえば、児童相談所が家庭訪問や電話相談などにより個別の相談に応じます。また、一時的に委託されたこどもを預かる制度(レスパイト)もあります。里親会のサロンで養育の悩みや喜びを共有したり、アドバイスを受けるなどの交流の場もあります。児童養護施設の里親支援専門相談員などにも相談することができます。
また、養育里親にはこどもに必要な一般生活費や手当が支給されます。こどもにかかる医療費などの負担を、里親が負うことはありません。
NPO法人chieds(チーズ)は、
「children’s needs」を略して名付けました。私たちchiedsは、2021 年の春に地域社会に根ざした家庭でこどもが健やかに育まれる環境を、これまで以上に整えたいと強く願い、大分県からスタートした特定非営利活動法人です。
まずは、多様な家庭のかたちである「養育里親」を増やすための活動を、大分県と日本財団の協定による家庭養育推進自治体モデル事業の一環として始めています。
このビジョンに基づき、こどもの家庭養育優先の原則の実践、里親家庭含む多様な家庭でも子育てしやすい環境づくり、そして不適切な養育を原因とする親子分離を予防するための活動をめざしていきます。
chiedsは、社会的養護を必要とするこどもたちが身近に存在していること、そして、その養育の担い手である里親の存在を知っていただき、困難な環境にあるこどもたちを社会全体で養育することについての理解を深めるため、里親啓発普及活動に取り組んでいます。
SNSの活用、県内企業へ広報活動への協力依頼をはじめ、特に大分県が新たに取り組んでいる県内4市に配置された「家庭養護推進員」との連携による、より細やかな活動を広げていきます。
児童相談所や里親支援専門相談員のみなさまと一緒に、里親希望者に向けて「里親募集説明会」をはじめとする様々なリクルート活動を県内各地で行っています。公民館などでお茶を飲みながら気軽に里親についてのお話・相談ができる「お茶会」や、chieds事務所で個別のご相談も承っています。また、chiedsのチラシ等に掲載しているQRコードを読み取っていただくと、LINEを通じてご自宅から手軽にお問い合わせいただくことも可能です。相談から登録まで、里親という生き方についてchiedsが一緒に考えながら進みます。
chiedsは、里親登録を目指すみなさまとともに学びを深める「認定前研修」を行っています。この認定前研修は、テキストをもとに里親希望者の養育に対する意見や想いを共有し、ときには他のメンバーの意見に耳を傾けていただきながら進めていく研修です。chiedsのこの認定前研修は、ともに学びを深める中で、里親希望者とchiedsのソーシャルワーカーの信頼関係を構築する大切な機会であると考えています。
これまで児童相談所が乳幼児を緊急で一時保護した場合、受け入れが可能な里親を探すことが難しい状況にありました。また、定員超過や感染症対策のため、乳児院や児童養護施設での受け入れが困難なこともありました。こうした状況を改善するため、日本財団と大分県の協定のもと、chiedsの新たな取り組みとして2021年7月から「乳幼児短期緊急里親事業」がスタートしました。
「乳幼児短期緊急里親」に登録された里親には、依頼があった際に乳幼児の一時保護や短期間の委託を受け入れることを原則として活動していただいています。すでに何人もの乳幼児が、緊急であってもあたたかい家庭に受け入れられています。