令和4年4月23日発行の大分合同新聞にて「ひらけ!里親プロジェクト」の活動の一環として記事を掲載していただきました。
本作は、里親制度の実情を伝えるため、制度を活用されている方に取材を行い、実話に基づき制作した手紙の体裁の物語です。
【記事本文】
〇〇児童相談所 田中様・高木様
先日は相談に乗っていただきありがとうございました。話を聞いていただけるだけでかなり気持ちが楽になりました。翔一郎の小学校入学式を無事に終え、一息つきましたので取り急ぎ、現在の状況報告です。
■理解しにくい行動について
幼稚園年長の頃から多くなった、だっこの時に私を噛んだり叩いたりする行為ですが、少しずつではあるものの改善してきているように思います。皆さんの言う通り、ただダメというのではなく「翔ちゃんのことは大好きだけど、叩くのは嫌いだよ」と、叱っても大好きなこと、愛していることを添えるように注意しているのが、良い方向に向かっているのだと思います。
ただ、″小さな嘘″の方は、時間がかかるかもしれません。例えば「片付けた?」「うん、かたづけた」と毎回言うのですが、ほぼ片付けていません。もしかしたら、遊びのような感覚で言葉をただ反復しているだけなのでしょうか。まだまだですが、少しでも良い方向に向かうよう丁寧に声がけするのを心掛けています。
■真実告知について
アドバイス通り、小学校に入学して何日か経った日の夜に、寝かしつけながら真実告知をしました。
ママとパパと翔ちゃんは、翔ちゃんが生まれてから会ったこと。それまでは施設のおねえさんたちがママだったこと。ママとパパはこれからもずっと翔ちゃんのことが大好きだよと伝えました。
反応は薄かったのですが、第一声は「ありがとう」でした。「ママの方こそありがとう」と抱きしめ、涙が止まりませんでした。今後も折を見てしっかりと伝えていこうと思います。
正直、今は大変なことの方が圧倒的に多く、里親として養育する難しさを痛感しています。時に疲弊することもありますが、彼の何気ない一言で疲れはあっという間に吹き飛びます。翔一郎に出会えて本当に感謝しています。今後も困った時にはご相談させていただきますので、宜しくお願いいたします。
佐藤より