令和4年4月24日発行の大分合同新聞にて「ひらけ!里親プロジェクト」の活動の一環として記事を掲載していただきました。
本作は、里親制度の実情を伝えるため、制度を活用されている方に取材を行い、実話に基づき制作した手紙の体裁の物語です。
【記事本文】
父さん母さんお元気でしょうか。
こちらは何とかやってます。入社して一カ月、ようやく給料をもらいました。いや毎日働くのはしんどいですね・・・。で、初任給からなので安物ですが、マッサージ器です。母さんの肩こりに、父さんの腰に、よかったら使ってください。
実は僕も最近肩が重たくて、少しだけど母さんの気持ちが分かります。小さい頃、僕が肩たたきしたら「よくなった!ありがとう」と言っておこづかいをくれていたけど、あれ本当は弱すぎてほとんど意味なかったのでは。申し訳ない気持ちです。
あと申し訳ないのは父さんの腰もです。七五三の日を覚えてますか?もともと男子の七五三は5才でやるものだということを後から知りましたが、小2の秋、七五三自体を知らなかった僕に、父さん母さんは「じゃ行こう」と言ってくれました。
僕は前の日興奮していたのかなかなか寝られず、当日眠い目をこすりながら写真館で写真を撮ってもらい、千歳飴をもらって。覚えているということは、楽しかったんだと思います。
そして帰り道に疲れ切ってしまい、7才なのに父さんに肩車してもらったのです。どこかで見たのか、当時僕は、肩車に憧れがあったんだと思います。僕をかついだ父さんは膝をガクガク震わせていましたが、何とか立ち上がって最高の景色を見せてくれました。人生初の肩車は想像よりかなり高く、肩があったかくて本当に気持ちがよかった。で、次の日も肩車をせがんでしまい、父さんは腰を痛めましたよね(笑)。本当に悪いことしたなあと・・・。ごめんなさい。
そんな日々のおかげで今の僕があります。生意気やひどいことを言ってしまったこともあったのに、最後の日に「また帰っておいで」と言ってくれたのは本当に嬉しかったです。
父さん母さん、今まで本当にありがとうございました。いつか伝えようと思いながらずるずるとここまで来てしまいました。直接言えずごめんなさい。
お体、ご自愛ください。
彰より